大神神社伝承

衣懸の杉(きぬがけのすぎ)

大己貴大神(大国主大神)が今の播磨国(明石市)の村里に酒の造り方を初めて教えて、この里に妻神の弥冨都比売と言う伊和大神を祀って置かれた。その神様の光は海原を照らし幸御霊奇御霊(さきみたまくしみたま)は大和國に鎮まっておられるから御魂神と申し上げることになった。
さて姫神は夫神の跡を慕い尋ねて河内の國迄お越しになった。河内国から毎朝毎朝三輪まで通い三輪大神を尋ねてられる。しかし三輪大神は姿を見せられず、そこに杉の大木があったので、この木に自分の着衣を掛けて置かれて、なおも毎朝それを目印しに御通いになるので、杉の木の皮に禁止の書を書いて置かれた。それなのに姫神は尚も通われるので大神は自分の姿は隠して、大蛇を見せられたので、女神は大いに驚き五十丁西に逃げられる。逃げた所に鎮まり給う此れ則ち村屋坐弥冨都比売大神である。
此れを以て大神は大国主の御魂神として三輪に鎮まり世を治める表の政治活動は皇様に委ね自身は八尺の勾玉をかぶり静かに長く隠れ給えば顕國の御魂神と人々に言われている。

※大神神社(第三版)中山和敬著(大神神社元宮司)の「衣懸の杉」を要約して掲載しております